ジョナサン・グリーンバーグ、『2014年』中に真理と疑惑を見いだす
2005-09-08


2004年12月9日 インタビュー・アーカイブ

SF本の著者ジョナサン・グリーンバーグが、『1984年』、『2004年』と『2014年』の中に、不安に落とし入れるような真理と疑惑を見つけ出す

もちろん、究極的な真実の再定義は、先月の選挙における電子投票装置の「順調な成功」である....だが、これに対して「第四階級」(=言論界)、大切な独立メディア、この選挙が不正だったかどうかを探り出すのに必要な作業を行うことができる資源、人材、影響力を持った数十億ドルのメディア・コングロマリットは何をしているのだろう? 『アメリカ 2014』:オーウェル風物語の著者、ジョナサン・グリーンバーグは語る。

BUZZFLASH インタビュー

今日のアメリカ社会の中に、『1984年』の、小説に影響を与えたファシスト政権の側面を見いだすとき、私たちの多くは恐怖にひるむ。『アメリカ 2014』:オーウェル風物語、という小説を初めて書いた調査報道記者ジョナサン・グリーンバーグ(ドーン・ブレアというペンネームで書いている)は、今からわずか十年先、政治的におかしな方向に進んでしまった未来世界のアメリカにいざなってくれる。下記BuzzFlashとの議論の中で、グリーンバーグはジョージ・オーウェルの反ユートピアの傑作を振り返るだけでなく、我が国の現在の実態と比較しているが、どれだけささいなことで、我々が将来の悪夢つまり『アメリカ 2014』の世界に滑り込んでしまうかということも明らかにしてくれている。惨事に至る足がかりと彼が見なしているものには、電子投票を「順調な成功」と称するブッシュ政権の情報操作や、ジャーナリスト/芸能人が「ニュース」を伝えるという文字メディア以後の時代の現実や、「ダビャシンク」による常識の置き換え、等がある。

(訳注:「ダビャシンク」 ダビャ=Dubya テキサス弁のWの発音から。George “W”. Bushのこと オーウェルの『1984年』の中で使われている表現「ダブルシンク」=二重思考、同時に矛盾する二つのことがらを信じるという言葉のもじり)

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BuzzFlash: 『アメリカ 2014』の主人公は、現在の政府とは違う、オーウェル風アメリカ政府用の広告を制作しています。嘘が真実で、真実が嘘と理解されるオーウェル風の世界を実現するにあたって、マス・メディアはどれだけ重要なのでしょう?

ジョナサン・グリーンバーグ: オーウェル風の世界を、実現し、維持するにはマス・メディアの支配 が不可欠でしょう。「ビッグ・ブラザー」政府は全ての情報を、単純で、くだらない、「愛国的」なものにとどめようとし、事実を独立して判断する機能をはたすあらゆるメディアを回避するでしょう。道理が引っ込み、関連質問の時間が無い所では、嘘が最も有効なのです。

それが『アメリカ 2014』では、書き換えられた憲法の元で「神の合衆国」と改名した政府が、どのメディア企業が、公共の電波を「戦時において」用いるに値するほど「十分に愛国的であるか」を決定する絶対的な権力を持っている理由なのです。万一、フォックス・ニューズの親会社がクリア・チャンネルを買収し、そして大統領と国土安全保障局長官が、それが公共の電波とインターネットを使用するに値する唯一の企業だと判断することを想像して頂きたいのです。

それが『アメリカ 2014』の世界です。それは、あらゆる情報の絶対的な支配について、「反逆罪的」な事実の代わりに「愛国的な」嘘ををばらまくというメディアの役割についての話です。ですから『アメリカ 2014』で、あらゆるものの中で最も破壊活動的かつ反逆罪的行為は、法律上、定期的な「緊急放送」を全ての国民が見なければならない、政府の強制的「常時放送」衛星チャンネルへの、レジスタンスの不正侵入です。レジスタンスがチャネルを乗っ取って、舞台をアメリカにして、主人公のウインストン・スミスがBBC用に台本を書いた「1984年」のリメーク版をテレビ・ラジオ同時放送し、反対意見のメッセージを広める情報コマーシャルまでも合わせて放送してしまいます。


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