オーウェルならブッシュ政権を愛したろうか?
2005-09-08


オーウェルならブッシュ政権を愛したろうか?

Jon Eekhoff 2004年4月5日

1948年にジョージ・オーウェルが「1984年」を書いた時、ロシアのヨシフ・スターリン体制をビッグ・ブラザー政府のモデルとした。圧政的なビッグ・ブラザーは常に監視しており、常に戦争状態にあり、そして常にオセアニア(イギリスとアメリカ)国民に対する情報の流れを管理している。

どうもどこかで聞いたような気がする、という人はいないだろうか? そう。「人は、我々の味方であるか敵であるかの、どちらかだ」という主張と立場を同じくしないものにとり、ブッシュ政権はビッグ・ブラザーと驚くほど良く似ている。

愛国法から見てみよう。(オーウェルには、この名称のいかにもダブルスピーク的なところが気に入ったことだろう。) 愛国者は、監視されることを甘受する。愛国者は、正しく振る舞い、アメリカ国旗を正面に立て、言われた通りのことをしている限り、心から愛するビッグ・ブラザー/ブッシュ政権の連中を恐れる必要など何もない。そうした規則に従わない連中が連行され、容疑なしに拘置され、代理人なしに尋問されるのだ。「1984年」の思想警察は、オセアニアの人々に対し、同じ様な形の政府管理を採用している。

国土安全保障省/愛情省は、外部の敵という悪から我々を守るためにある筈ではなかろうか? 私たちは、ずっと安全だと感じていられるはずではなかろうか? もし国土安全保障省長官トム・リッジとその部下連がいなければ、邪悪な敵が我々を殺し、破壊してしまうのではなかろうか? そうした恐怖の類によって、安全性といわれるもののために、我々は権利を放棄するようになっている。そう、そこで我々は安全でいられる限り多少の自由をあきらめたのだ。私が覚えている範囲では、9/11以前には、かなり安全な状態の期間を謳歌していたような気がする。 そこであなた方がこう言う声が聞こえてくる。「時代が違うさ。当時我々はテロリスト攻撃の目標ではなかったのだ。だが今は攻撃目標だぞ」 そう言いながら、海外での「テロリズムとの戦い」に巨額のドルを注ぎ込み続けている間に、合州国にあって我々は益々借金にはまりこむ。恐怖が支配している限り、我々はインフラストラクチャーが悪化してゆくのに目をつぶっていられるし、ビッグ・ビジネスが暴走するのにも目をつぶっていられるし、環境がテロリズムの二の次とされるのを許し、もともと我々の生活の一部だったあらゆるサービスに対して、益々多くの金を払い続けることもできる。

恐怖によって、ブッシュ政権は大量破壊兵器を発見する為にイラクを攻撃する権利を得、戦争目的を究極の善の一つへと変更した。我々はイラクの人々を自由にしたかったのだ。我々は中近東に民主主義国家を作りたかったのだ。我々は世界から、大いなる悪を一掃せねばならないのだ。

「1984年」では、政府は変わり続ける敵と常時戦争状態にある。オセアニアの人々は、誰が敵で、誰が同盟側なのか忘れ始めている。ブッシュ政権は、誰が敵で、誰が敵でないか、はっきりと線引きしてくれた。悪の枢軸として、誰が良い連中で、悪い連中なのかはっきりしているだろうか? フランスは何にあたるのだろう? サウジアラビアはどうだろう? (9/11テロリストの大半はあの国出身だ。) 「有志連合」以外の連中は、皆敵なのだろうか? ブッシュ政権の連中が我々に語りかけている事よりも広い視野で考えて見ると、この境界線はやや曖昧になる。


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